|   文字サイズ 〓 テキストサイズ 小 |中 |大 |



第103回二科展:二科美術展覧会

第103回 二科展 開催 (2018年9月5日〜9月17日)

第103回二科展総評田中 良 理事長

DSC02668加工01_260-180.jpg九月五日、北は震災、四国、関西は台風と重なりながらも無事初日を迎えられたことは幸いであった。災害に見舞われた方々に心よりお見舞い申し上げます。
 出品者数はやや減少したが、四部共若者が活躍を見せてくれたのがよかった。
 コラボ展の評価は益々盛んで四部の協力の強さを示した。外国の方々の鑑賞者も多くなり今後が楽しみである。
 ただ絵画部の新会員には、頑張ってもらいたい。2、3年経過の会員たちの低迷ぶ絵画部会場 第1室りはどうしたことか。今から自分はこのスタイルでいこうなんて、甘っちょろい考えが充満し、スタイルにこだわり、潑剌した改革の精神が欠けている。スタイルなんてものは、生存中は考えず、飽くなき追求を続ける結果として、その画家の作となるのであるから、次から次へと変革を試みるべきである。各支部中堅会員の活躍は会として心強い。今後も続けてお願いします。最後に災害列島に、災いと戦争の起きない平和が永遠に続くことを願いたい。

|第103回二科展 絵画部・彫刻部 総評

絵画部 総評 成功裡に、これから 中原 史雄

 審査から受賞作まで、今回も順調に決まった。また展覧会も、会友の二点展示を増やしたこと、若い作家の室やコラボ展示の充実などの効果もあり、成功裡に終えることが出来たようだ。入場者は96、559人。多くの公募団体が厳しい運営を強いられるなか、昨年より5、059人増えている。改めて各担当者の尽力に感謝したい。
 さて、会場をゆっくり見て廻り目に留まった作品を幾つか。
 上野の森美術館奨励賞「春の恵みⅠ」吉元かつこ。育てているキャベツ一個を俯瞰で描いた。瑞々しい色彩、華の形や陰影の捉え方もいい。特選「ころぶし山Ⅱ」岡山芳彦、独特の混色による描き方、見慣れた景色ならではの光の表現に魅せられた。共に暮しに根差した視点で説得力を感じる。次に、表現を見事に変化された会友推拳の二人。「海の詩Ⅱ」筒井通子、永い間ごく普通に船溜りを描いていたが、船底の赤のゆらぎに絞って造形化、今回のイメージ世界にまで拡げている。「ビックキャット」久田千恵子、伊藤若冲に感化され、鳥などの再構成を試みたが如何にも若冲、ところが、おおらかでフラット、ユーモラスでもある画面を創りあげた。共に見事。他にも気になる作品があるが、次の展開を楽しみにしている。
 国立新美術館の壁面に今年展示された1、265点、その多数の作品のなかで、自作がどう見えているか。少なくとも、好きなテーマを慣れた手法で描くだけでは、存在感は示せない。無やみに頑張っても、絵は硬くなり画面はリズムを欠いてしまうのだろう。
 そもそも絵画表現とは心の象(かたち)を具現化するもの、つまり、想像を創造に変えること。自分の想いを伝えるためには何が必要か、よく考えてから描きはじめること。また、計画どおりにだけではなく、偶然も取り込むぐらいの柔軟さ、あと大切なのは、突き抜けようとする勇気なのだろう。
 無事終えた103回展だが、いろいろ課題もある。その一つが懸案の審査。すべて多数決では平均的な作品の展覧会になってしまう。私たちは、「創り手」の集まりなのだから、妙な魅力も掬い上げる眼と手立てが必要。あくまで挙手を基準にしながら。
 煙たい人、煩わしい存在が居ない今の二科会、大切なものも抜け落ちてきた気がしてならない。


彫刻部 総評 前田耕成


 9月4日、台風21号が関東地方接近という状況の中での展示作業、翌5日の第103回二科展のオープン、そして6日未明に起きた北海道地震。今年の夏の異常な暑さも相まって、自然の驚異に振り回された開催となりました。
 彫刻部の展示点数は例年並みでしたが、展示スペースが昨年よりも130㎡ほど少なくなったせいで、室内展示では壁面を背負う場所で作品同士の空間が多少物足りないところがありましたが、可動壁の使い方や照明を効果的に使うことでバラエティーに富んだ展示空間になったと思います。従来の彫刻概念から離れた様々な様式や多種の素材や色彩も要因なのでしょう。昨年コラボ展示で使っていた野外会場へ向かう休憩室は、巡回展の小品がスマートに並んでいます。小品だからこそ表れる作者の明快な個性が見られて楽しい展示となりました。
 高層ビルが間近に迫る野外展示場は、都会の異空間のようです。ここには石や金属を素材にした20点の作品が展示されています。室内展示と比べるとゆったりしていて個々の作品に集中できる環境になっています。ここでは人体をモチーフにした石彫が、この異空間に絶妙なポジションで存在していることに気づかされたり、一方、無機的な形態の作品は大きさについて一層考えさせられたりもします。そして自然光の変化や夜間の照明によって作品たちが、そのつど違った様子を見せてくれるのも楽しみの一つです。
 恒例のギャラリートークは、それぞれ異なった素材を使う4名の出品者によって行なわれ、普段なかなか理解しにくい制作時の作家の内面や素材についての丁寧な説明が好評でした。
 東京都美術館から国立新美術館に移って11年が経ち、展示環境の激変を何とか克服しながら現在に至りましたが、公募展である二科彫刻部は、これからも美術界の情勢に目を向けながら、少しずつ変化していかなければならないと強く感じております。

NIKA103_2018


DSC02582オリジナル500_250.jpg▲絵画部:会場風景
DSC02584_オリジナル500_232.jpg▲絵画部:会場風景
NIKANEWS74-P13-3_245_138.jpg▲絵画部:ギャラリートーク
NIKANEWS74-P13-1_245_88.jpg▲絵画部:ギャラリートーク


DSC02555オリジナル500_306.jpg▲彫刻部:会場風景
NIKANEWS74-P12-10_245_140.jpg▲彫刻部:ギャラリートーク
NIKANEWS74-P12-11_245_137.jpg▲彫刻部:ギャラリートーク

▲ Page Top

|第103回二科展 特別展示企画|

第103回二科展 コラボ展示

 好評のうちに定着した4回目のコラボ展示は会場が1、2、3階休憩室へと範囲が広がり、会場誘導・周知のための新企画を実施しました。
 3階の犬テーブルに用意した触って遊べるカラフルな積み木は、3階の展示の良いアクセントになって、楽しい空間となりました。
 スタンプラリーの集計は延べ4、700人。3Fのゴールでは景品引き換えの行列ができ、コラボ缶バッチと絵葉書の2種類の景品を切り変えるなど想定外の盛況となりました。
 参加4部門会員、123人、171点。コラボ作品集冊子、絵葉書32名、38種の作家缶バッチを作成。参加作家や会場係が上着につけた缶バッチでコラボ展示を盛り上げていました。

作家缶バッジRGB加工完成430_120.jpg

NIKA103_2018


DSC02686オリジナル加工245_173.jpg

DSC02404_245_170.jpg

▲ Page Top

事務局だより

 平成が最後の年となった今年は日本歴代最高気温(41、1度)を記録する酷暑、豪雨、台風等、災害の影響を各地で受けた夏でした。特に北海道胆振東部地震は第103回二科展初日の翌朝の事で、不安や心配の中での始まりとなりましたが、入場者は増加で盛況の内に終了いたしました(表参照)。
 全国応募の二科展に、35の二科支部が存在していますが、地盤の弱い地方の応援として北海道、東北、中国・四国が上げられ、平成24年に担当理事制が発足。5年間を一つの目安との理事会承認を得て、東北連合展支援も4年目になりました。この間、担当の先生や出品者の努力により東北地方は入選者、受賞者、会員会友推挙者も生まれ活気づき、この好結果を得て一昨年からは北海道を、本年度は四国の応援準備が進んでおります。また絵画部会員数ゼロの14県にも応援体制の検討がなされています。館内では外国人来館者に向けての案内表示を進めておりますが、二科会メンバーや出品者の中には英語・韓国語・中国語に堪能な方も多く頼もしい限りです。
 二科展ドットコムは、時代の流れに合わせて会員・会友作品のギャラリー頁と受賞作品頁を各部のHPで行う事となり、四部管理から公益社団法人二科会が一括管理する事となりました。この一括管理の中では引き続き四部の入選者統計、推挙者・受賞者・入選者一覧、巡回展だよりを掲載いたします。受賞作品頁は四部掲載から絵画・彫刻部掲載となる為、リニューアルして更に充実する事となります。
 七回目となった被災地児童共同作品展示の前では、関東在住の西原村の出身者が集合するなど、会場で偶然、世代を超えた新しい出会いも生まれました。
 元号が代わっても、自然が猛威を振るって来ても、二科展が魅力的であり続ける為には、四部の作家の作品に対する情熱とアートの持つ魅力とが展示空間で相俟って花開く事に加え、二科展に携わる多くのやさしい心が益々に大切になっていくのだと思います。
                         事務局長 塙 珠世

国立新美術館▲国立新美術館 第103回二科展会場

チャリティー報告

 今回から絵画部はチャリティー寄贈作品を色紙から手軽に飾っていただける額装付き小品とし、画材や手法が様々に見られる賑やかな壁面になりました。皆様のご協力により収益の全額を寄付することができましたことをご報告いたします。
寄付金総額 810,000円
・NHK厚生文化事業団 500,000円
・熊本市会計管理者 310,000円

ミニコンサート

「ルーチェ」は、透明で澄んだ月のあかりをイメージした楽団名。そのミニコンサートが 9月14日(金)18:00~より第8室にて開演されました。

NIKANEWS74-P13-5_222×110.jpg▲出演:ルーチェ

二科ショップ

 作品集、絵葉書、受賞者名簿、二科エコバック、4部門会員の協力によるチャリティー寄贈小品、コラボ作品目録、参加作家缶バッチなどを販売するショップには、多数の来場の方がお立ち寄りくださいました。

NIKANEWS74-P11-2_222×125.jpg▲二科ショップ:チャリティーコーナー

▲ Page Top

 2018年度 義援活動報告

熊本震災復興支援活動報告について

 平成29年から今日まで、いろいろな形で支援活動を重ねて参りました。
今回は、特に自然環境に恵まれた阿蘇郡西原村の山西小学校の児童を対象として行いました。内容的にはアクリルを使って描く大作(400号)の共同制作です。
 制作過程の中で特に印象に残っているのは、制作に取り組む目の輝きと時間を忘れる程の集中力、そして春夏秋冬の四枚の絵を仮組して完成させた時のあの喜びの顔があった事です。私達二科会のスタッフもほっとすると共に、今回の活動を通して、たいへん意義深いものであったと強く感じております。
 今回の作品は、今後、地域の中心である小学校の玄関正面に展示されます。子供達をはじめ、多くの方々を、いろいろな面で末永く励ましつづけてくれる事と思います。
 最後になりましたが、二科会会員の皆様方をはじめ、関わってくださいました皆様方に心より厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。

                    二科熊本支部支部長 木戸征郎


第103回二科展 被災地児童作品特別展示|小冊子

103被災地児童_縮-1_110_156.jpg103被災地児童_縮-1_110_156.jpg




◁詳細は第103回二科展 被災地自動作品特別展示 小冊子をご覧ください。(左画面、または下の■表示■をクリック)

■表 示■


nika103_2018

画像Clickで拡大表示

NIKA-HISAI_PGB加工オリジナル1000×800.jpg▲第103回二科展 被災地児童作品(400号)
NIKANEWS74-P11-1_800_400.jpg▲二科展展示風景
17集合写真2日目最終日_加工01_800×390.jpg▲第103回二科展 被災地児童作品を前に記念撮影

▲ Page Top

▶「 2024 春季二科展 」2024 SPRING NIKA ART EXHIBITION

「 2024 春季二科展 」2024 SPRING NIKA ART EXHIBITION 開催

2024春季展ポスターB3タテ920×650.png
  会 期:4月18日(木)〜5月2日(木)
      9:30~17:30(入場は17:00まで)
      最終日は14:30 終了(入場は14:00まで)
  会 場:東京都美術館 1階 第1・第2・第3展示室
            東京都台東区上野公園8-36(上野公園内)

  ▶春季展 授賞式:4月18日(木) 午後1時より  場所:1階2室
  ▶絵画部ギャラリートーク:4月18日(木)  授賞式終了後 開催

▶ 帝国ホテル 二科サロン 第106回二科展 受賞者小品展(第四期)終了

帝国ホテル 二科サロン 第106回二科展 受賞者小品展(第四期) 開催

nika_favicon64.psd帝国ホテル二科サロンにおいて第106回二科展受賞者から選抜された
12名による小品展(第四期)を開催いたします。
・会期=2023年10月3日(火)〜2024年1月9日(火)
    (初日:午後3時より  最終日:午後1時まで)
・会場=帝国ホテル インペリアルタワー・ギャラリー(東京都千代田区内幸町1-1-1)[入場無料]
・主催=公益社団法人 二科会

  ●作品出品者▷徳永スエ子・芝田満江・中野紀三朗・柳澤綾子・すぎもと 和・菊島ちひろ
         佐藤幸光・坪田裕香・石見香賀里・桑子純子・前川普佐雄・矢島初子