第108回 二科展 開催 (2024年9月4日〜9月16日)
|第108回二科展 開催|生方純一 理事長
第108回二科展では、作品の搬入・受付・審査の始めの頃までは豪雨や雷に見舞われ、交通の乱れが生じ飛行機や鉄道の不通などもあり、審査後いったん帰宅予定だった会員も足を奪われるなど大変だったと思います。
しかし、展示作業を終えて初日を迎えるころから会期中は連日記録的な暑さに見舞われました。
猛暑の影響もあってか最初は来場者の出足も芳しくなく見えましたが、そんな連日の猛暑にもかかわらず鑑賞者の数は昨年を大きく上回り、最終日には関係者に大入り袋が配られました。会期中、毎日会場に詰めていた関係者は大変だったと思います。また当番で来ていただいていた会員の方々もご苦労様でした。
この数年の来場者の特徴として外国人が増えていることに気付きます。観光客か滞在者か分かりませんが気軽な感じで熱心に鑑賞されていたように感じました。
今回はあらかじめ予防を徹底したこともあり、コロナやインフルエンザなどの障害もなく展覧会を全うすることが出来ました。
第108回二科展 絵画部 総評|黒川 彰夫
昨年に引き続き全会員参加のもと、コロナに注意しながら審査が進められました。
例年より出品作は減ったものの、充実した作品が多く見られました。また、春季展で初めて企画したS20の公募作品の中から優秀作を展示して、春季展から本展へと意欲的に参加してくれる出品者の発掘に努め、S20の作品が二科本展にも新しい風を入れてくれるのではないかと、大いに期待が持てるところであります。
新人部屋、アニマル部屋など展示に工夫を凝らして、来場者に見やすい展示にして、かなり整理された雰囲気を作り出しておりました。これも展示委員の努力が実ったものと思います。
絵画部 1階 1室
二科賞の近藤隆弘、パリ賞の中村英二は両者とも独自の抽象表現を展開し、今後の制作が楽しみなところであり、SOMPO美術館賞の今野真由美、上野の森美術館賞の武部美智子の二作品は、的確な具象表現を展開していてその技術の高さが感じられます。
さて今回特に注目したいのが、淡色で表現された作品群で、カラフルな色彩、明暗の強い作品の多い中で爽やかな風を吹き込んでくれた感があります。例えば、永田治子「花姿」は墨絵調子の中に浮かんだ花を、加治木成美「このつぎ」は人物の軽やかな表現が魅力的、福岡ゆらり「時満ちる迄」は消えいる様な色彩の中に浮かぶ人物の儚さ、出月智子「La vie ∞ Ⅱ」のリズミカルな線描が楽しい、特選の福岡侑恵加「凪」は水面に浮かぶ人物の揺らぎ、浅野勝己「夢を乗せてⅠ」は視点の面白さと表現力、会員推挙の田中正子「26時の夢Ⅰ」ブルーグレー調と淡い色彩の美、中村ふく子「夢を集めて(4)」はグレーの明暗が美しく強さを感じます。
それぞれの作品は、淡色調でありながらその作品と対峙した時、見るものに確かなメッセージを伝えてくれます。今の時代に静かに語りかける作品の存在を貴重なものとして捉えていく事が必要ではないかと思いました。
第108回二科展 彫刻部 総評|前田 耕成
▲彫刻部:展示会場 第108回二科展は台風の影響が残る中、9月4日にオープンしました。国立新美術館での開催は第92回からで、はや17年が経過し、彫刻部の展示は今回初めての試みをしてみました。会場に数か所モニター画面を設置して、過去3回分の本展会場風景を映像で提示し、回ごとに変化する表現や展示そのものの進化を紹介しました。また、展示会場は可動壁を効果的に使うことで、程よいメリハリができ鑑賞者のスムーズな導線を作れました。
展示された作品に目を移すと、風景はだいぶ様変わりしたように感じます。ここ数年の間に彩色された作品が多くなったことに気づきます。素材も鮮やかな色彩を施した樹脂粘土、布、鏡などを主素材とした作品と従来彫刻の素材として使われてきた金属、石膏、木の作品が一堂に展示されています。一見華やかに見える会場にあっても、相変わらず時流を越えた作品が会場を引き締めています。
二科会彫刻部には、さまざまな様式を受け入れ創作の自由を束縛しない、作品のサイズでは評価しないというコンセプトがあります。このことから第106回からカテゴリー30(30㎤以内)の作品展示が始まり、小品ならではの作者独特の手法や空間を発見することができます。
室内から野外会場を望む休憩室の巡回展作品を見ながら外に出ると、高層ビルが間近に迫る都会の異空間に適度な間隔で作品が配されていて心地良く、一日の陽の傾きによって作品が変化していく様子も楽しむことができます。
|NIKA+nikaS20号 特別展示|
S20号 特別展示(2・3階 休憩室)
2024春季展企画 S20号公募の入選作品中から優秀賞、来場者投票で選ばれた
オーディエンス賞に秀作を加えた22点の作品を2・3階休憩室に展示しました。
※2025春季二科展「NIKA+nika/S20号」コンクールを開催。
公募規約は右のQRコードよりダウンロードできます▶︎
▶ 帝国ホテル NIKA ART SPOT「S20特別賞」作品展示
帝国ホテル NIKA ART SPOT「S20特別賞」作品展示
帝国ホテル 東京 本館「NIKA ART SPOT」において「S20特別賞」作品を展示いたします。
2024春季二科展「NIKA+nika/S20号」コンクールにて「S20特別賞」を受賞された4名の
作品を前期と後期に分けて1年間展示いたします。
ご高覧頂きたくご案内申し上げます。
■会期:前期=令和6年5月10日(金)〜令和6年11月12日(火)
後期=令和6年11月12日(火)〜令和7年5月9日(火)
■場所:帝国ホテル 東京 本館 中2階「NIKA ART SPOT」
住所:東京都千代田区内幸町1-1-1
■主催:公益社団法人 二科会
■S20特別賞受賞作家
前期:荒井洋子・出月智子
後期:近藤隆弘・番場美和子
◀帝国ホテル 地図・交通アクセス QRコード
日比谷駅:東京メトロ 日比谷線・千代田線・都営地下鉄三田線 A13出口から徒歩3分
銀座駅:東京メトロ 日比谷線・丸の内線銀座線C1出口から徒歩5分
有楽町駅:東京メトロ 有楽町線徒歩7分
JR有楽町駅:山手線、京浜東北線 徒歩5分
▶「 2024 春季二科展 」2024 SPRING NIKA ART EXHIBITION[終了]
「 2024 春季二科展 」2024 SPRING NIKA ART EXHIBITION[終了]
会 期:4月18日(木)〜5月2日(木)
9:30~17:30(入場は17:00まで)
最終日は14:30 終了(入場は14:00まで)
会 場:東京都美術館 1階 第1・第2・第3展示室
東京都台東区上野公園8-36(上野公園内)
▶春季展 授賞式:4月18日(木) 午後1時より 場所:1階2室
▶絵画部ギャラリートーク:4月18日(木) 授賞式終了後 開催
▶ 帝国ホテル 二科サロン 第106回二科展 受賞者小品展(第四期)終了
帝国ホテル 二科サロン 第106回二科展 受賞者小品展(第四期) 開催
帝国ホテル二科サロンにおいて第106回二科展受賞者から選抜された
12名による小品展(第四期)を開催いたします。
・会期=2023年10月3日(火)〜2024年1月9日(火)
(初日:午後3時より 最終日:午後1時まで)
・会場=帝国ホテル インペリアルタワー・ギャラリー(東京都千代田区内幸町1-1-1)[入場無料]
・主催=公益社団法人 二科会
●作品出品者▷徳永スエ子・芝田満江・中野紀三朗・柳澤綾子・すぎもと 和・菊島ちひろ
佐藤幸光・坪田裕香・石見香賀里・桑子純子・前川普佐雄・矢島初子