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第106回二科展:二科美術展覧会

第106回 二科展 開催 (2022年9月7日〜9月19日)



|第106回二科展 総括|生方純一 理事長

NIKANEWS79-P01-1.tif 第106回二科展はコロナ禍も治まらず、世情不安の中で周到な準備を重ねて予定通りに開催することができました。
 天候も不順で異常な暑さの続く時期でもありましたが、絵画部・彫刻部ともに出品者が増え、関係者は大いに安堵いたしました。
 審査は昨年同様に会場の密を避けるために人数制限がなされ、理事と運営委員による審査となりましたが、整然と行われ、結果的には偏りもなくバランスのいい審査になったと思います。
 こうした少人数審査は混乱もなくスムーズで、今後の審査のあり方を示唆しているように感じました。
 作品本位な審査で結果的には密度の高い作品が選ばれ、比較的若い人や新しい人の作品に秀作が見受けられました。
 また、本年は選挙改革委員会の提案による改革で役員、委員の意識に変化が感じられ、逆境ともいえる情勢下で意欲的に参加している様子が窺えました。
 106回展の特徴として、絵画部では会場構成を大幅に見直し、各部屋に特徴を持たせました。受賞作や推挙作品をまとめて展し、比較して鑑賞できるようにしたりし、初出品の選抜コーナーや小品の秀作室を設け、従来のU35コーナーなどともに展示に工夫を凝らしました。
彫刻部でも会場の中央に新しい試みとして募集した「新カテゴリー」作品を展示し、人気を集めていました。また、野外にも秀作が展示されましたが、鑑賞者の暑さに耐える様子が気になった日も多かったです。
他には、4部の会員による小品のチャリティコーナーや、日本在住のウクライナの子供たちの作品も休憩室に展示しました。
 会期の前半には中原常務理事による出品者支援講座・ワークショップがあり、〈自分の「殻」を破り「描く」を10倍楽しくするために〉と題して、楽しんで描くには何が大切かを語り、参加者がサインペンを使って一枚は手元を見ながら、もう一枚は手元を見ないで自画像を描くというユニークな発想で、表現の発見を実感するという講座を開催していただきました。
NIKANEWS79-P12-01.psd また、会期の後半には、昭和女子大学の特任教授である木下亮先生をお招きして、「写実を超えて~スペイン・リアリズム絵画との接点~」と題した講演でスペイン美術の特徴であるリアリズムについて、17世紀のバロックから現代までの作品を取り上げながら、今日的な視点でスペインと日本人画家の接点をご紹介いただきました。
 会期の後半には大型台風の接近で雨にも悩まされましたが、鑑賞者の出足にはさほど影響もなかったように見受けられました。西日本各地で災害に遭われた関係者にはお見舞い申し上げます。
 今年は駅貼り広告なども取り止めましたが、入場者は昨年を大幅に上回り、喜ばしい限りです。不安定な世情が続く中での開催で良い結果が得られたことは、各支部の協力はじめ関係部署の担当者の尽力に依るところが大きかったと思います。
 暑い、暑い106回二科展でした。感謝です。

一人一人の作品を大切に 第106回二科展 絵画部展示について山中宣明

第106回展は入場者や出品者も増え盛会裏に終了し、光明の見える二科展となりました。展覧会部は本展と春季展と委員がそれぞれに特徴を持った展示に取り組む体制を取っています。また関東地区以外の会員も展示委員に加わり全国的な視野に立った展示を目指しています。開催前の委員会において106回展の展示は伝統を継承しつつ選挙制度の改革による新体制を象徴する新鮮味のある展示を志向するため次のような具体的展示プランを立て、可能な限り実施しました。
NIKANEWS79-P03-2.tif絵画部 1階 第2室一階
①1室は新役員、大臣賞受賞者等を中心に展示するが例年通りの定位置にせず、既視感のない新鮮な配列にする。
②2室を倍の広さにして新役員、運営委員等の大作を中心に1室同様のスケール感。
③一部屋一部屋を広くして引きが取れ会員の大作が引き立つようにパネリングを変えて各部屋を見過ごさない導線にした。具象的傾向と抽象的傾向の部屋を設置。
④12室には会員、会員推挙者、会友優作を一同に展示し、新しい息吹を演出。
⑤13室は二科ショップが休憩室に移転し広くなり会員賞受賞作と会員大作を展示し伝統の九室会のような現代性を感じさせる部屋にした。
⑥14・15室は会友賞等会友2点入選中心に、彫刻部と融合できる作品を選抜。
二階
NIKANEWS79-P02-3.tif絵画部 2階 第1室準構成である会友の作品が映えるよう、例年より作品間にゆとりを持たせ、2点入選部屋と1段部屋、入選者とのすみ分けを心がけた
②1室には会友推挙や特別賞、長壁には2点入選を展示、2室抽象、8室具象も継承。
三階
①1室には特別賞や2点入選優作を展示、2室抽象、11室具象的傾向を継承、特選も一堂に展示し受賞作をさらにアピール。
②12室の新人奨励室は継承。
③新たな試みとして4、9室に初入選優作を展示、新たな出品奨励策とした。また18室に50号サイズの部屋を設置。今後を見据え、サイズに関わらず小品でも密度のある作品は優遇し、奨励していくことの視覚化を図った。
休憩室のウクライナ作品展示近くには、テーマにふさわしい祈りや子供を描いた会員の作品を展示し、多くの入場者の関心を引く展示にした。
NIKANEWS79-P03-1.tif絵画部 3階 第12室後の課題として①二階の会友2点入選をさらに充実させ会友の存在をアピール②三階入選者の展示にゆとりの出る展示工夫をする③受賞作品の配置を研究し、各階各部屋に見せ場を作る④小品の展示をさらに改善、などが挙げられます。
公募団体は歴史的特質として作家集団であると同時に育成機関でもあります。一人一人の個の表現を打ち出すとともに、出品者の意欲を掻き立てられる展示にするべく広く意見を賜りながら、よりよい展示を目指していきたいと思います。
不確かな状況下で当初の予定通りの日程で本展の搬入の受付が始まり、危惧していた応募点数は若干減少しましたが、ステイホームということもあってか、じっくりと制作に取り組んだ様子がうかがえるような、良い作品も多かったように感じました。
 審査は密を避けるということで審査会場への人数制限をして、今回は理事と監事が審査を担当し、進行係と記録係、チェック係、データ係など、まさに少数精鋭で長時間にわたり取り組んでいただきました。
 少数であることから間違いや不公平がないようにと慎重に作業をしていただきましたが、見事な連携で問題もなくスムーズに進められたと思います。
 また、会場構成はマンネリ化が目立つこともあり、例年の展示から多少のアレンジを試みました。今後とも固定的な展示から流動的に変化を持たせた展示にしていければと考えています。
また、緊急事態宣言中ということもあり、例年行われていました4部によるコラボレーション展示、ギャラリートークやナイトミュージアム、ボランティア活動の一環でもある二科ショップ、及び祝賀パーティーなどのすべての行事を取り止めと致しました。
 そうしたことも影響してか入場者は例年より少なめでした。また作品を出品したにもかかわらず会場に来られなかった人もいました。その反面、長い間お待たせしたにもかかわらず熱心なフアンも多く関係者一同は大いに励まされました。
 緊急事態宣言下4部門の協力も順調で感染者を一人も出すことなく、最終日を迎えることが出来ました。開催にご協力いただいたすべての方々に御礼申し上げます。有難うございました。

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|彫刻部 総評|島田紘一呂

NIKANEWS79-P09-2.tif▲彫刻部:会場風景  コロナ禍の中、第106回二科展が9月7日から9月19日まで国立新美術館において開催された。残念ながら今回もオープニングセレモニー、テープカットなどは行われなかった。
 彫刻部では、万全を期すべく予め体温測定をお願いし、送風機を持ち寄っての搬入・入落審査・受賞会議を行った。従来であれば搬入、展示、懇親会などで一般出品者との触れ合い、コミュニュケーションが取れたがそれも叶わず、何か方法はと考え、初入選者には入館証と作品プレートに初入選シールを付け、会場で見かけた会員が積極的に話しかけることとなった。今回は一般出品者68名(初出品者30名)会友8名、会員52名での会場構成である。
 出入り口の受付の後ろにあった壁面を外し、奥まで見渡せる広いスペースを形成した。ニ科ショップ、チャリティコーナーを休憩室に移し、絵画部との間に壁面を設けたことにより、独立した空間を作ることが出来、新しい会場構成となった。
 増員が見られた初出品作は、全スペースに偏り無く展示されている。それは受賞作品も同様である。また材質にも気を配り同じものが集まらないように計画され、どの作品も展示場所との違和感なく収まっていると感じた。
 新設されたカテゴリー企画、30cm立方の中に収まる作品の応募をスタートさせた。
35×35×110の美術館台座に21点の小品が二筋のカーブを描いて展示してある。大作とはまた違う小品の世界が始まった。どう進化し、膨らんでいくのか期待を込めて見守りたい。来年、出品してみたいという方に幾人かお会いした。台座についてはもう少し低い方が良いのではとの声が届いている。室内から休憩室の巡回展作品を観ながら野外展示場へ出ると、低かった木々がしっかりとした緑のカーテンへと育ち、爽やかなスペースを作り出している。そこにはゆったりと作品達が点在している。
 初出品者増、新しいカテゴリーと壁面構成、活気ある107回展を迎える準備は整ったと感じた。

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|特別作品展示|

NIKANEWS79-P13-6.tif

NIKA106_2022


NIKANEWS79-P13-5.tif▲ウクライナ子供たちの作品







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▶「 2024 春季二科展 」2024 SPRING NIKA ART EXHIBITION

「 2024 春季二科展 」2024 SPRING NIKA ART EXHIBITION 開催

2024春季展ポスターB3タテ920×650.png
  会 期:4月18日(木)〜5月2日(木)
      9:30~17:30(入場は17:00まで)
      最終日は14:30 終了(入場は14:00まで)
  会 場:東京都美術館 1階 第1・第2・第3展示室
            東京都台東区上野公園8-36(上野公園内)

  ▶春季展 授賞式:4月18日(木) 午後1時より  場所:1階2室
  ▶絵画部ギャラリートーク:4月18日(木)  授賞式終了後 開催

▶ 帝国ホテル 二科サロン 第106回二科展 受賞者小品展(第四期)終了

帝国ホテル 二科サロン 第106回二科展 受賞者小品展(第四期) 開催

nika_favicon64.psd帝国ホテル二科サロンにおいて第106回二科展受賞者から選抜された
12名による小品展(第四期)を開催いたします。
・会期=2023年10月3日(火)〜2024年1月9日(火)
    (初日:午後3時より  最終日:午後1時まで)
・会場=帝国ホテル インペリアルタワー・ギャラリー(東京都千代田区内幸町1-1-1)[入場無料]
・主催=公益社団法人 二科会

  ●作品出品者▷徳永スエ子・芝田満江・中野紀三朗・柳澤綾子・すぎもと 和・菊島ちひろ
         佐藤幸光・坪田裕香・石見香賀里・桑子純子・前川普佐雄・矢島初子