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第100回記念二科展:二科美術展覧会

第100回記念 二科展 開催 (2015年9月2日〜14日)

100回記念展を迎えて田中 良 理事長(二科ニュースNo.68より)

DSC00601_100絵画会場入口560×800枠付.jpg 待望の第100回記念二科展が、九月二日、国立新美術館で絵画、彫刻、デザイン、写真の緊密な協力のもと、盛大に開催されたことは、誠に意義深く、有難く感動しました。
 前半は台風等の影響を受け心配でしたが、天候回復に伴い盛況で、入場者は十万二千余となり、これも宣伝効果と、やはり二科会という伝統のなせるわざと痛感した次第です。
 また出品者御一同の作品も力作が多く活気を呈し、特別展示室の「戦後二科を牽引した作家たち」の作品を陳列出来たことと、デザイン部・写真部の過去、現在、未来の作品を展示出来たことも好評であった。
 又東京都美術館、大阪市立美術館、石橋美術館と産経新聞社の共催で、美術史の中でも著名な作家約百名を選び、「伝説の洋画家たち二科100年展」を開催出来たことは実に感動。吉野毅委員長のもと、各委員会の担当理事、会員諸氏の御努力に厚く御礼致します。
 尚、休憩室を利用しての初の試み「猫」をテーマの4部合同のコラボ展も大盛況で、行った甲斐があった。恒例のチャリティ小品展も各部の厚い協力で、年々成果を上げ、社会福祉に貢献出来た。
 さて有終の美を飾り、101回展へと展望するに現代の―或いは未来の絵画についての思考を手段は様々だが深く語り合ってみたい。何故ならば、現代美術ではコンピューターでの制作が多く、その大きな流れになろうとしている感もあるが今回の都美術館での「伝統の洋画家たち二科100年展」を鑑賞した多くの方の感想は現代美術といわれている作品より、心に残る印象が遥かに強いという評を多く聞く。それは何故か?これから若い世代の画家志望者を育成する立場の私たち会員の宿題でもあり、反省点も残す。
 最後に第100回記念展を成功に導き、陰に陽に奮闘した塙事務局長、安田会計、4部事務局の皆様に心から感謝致します。

※二科ニュースNo.68をご覧になるには ■広報誌:二科ニュース■のページへ

|第100回記念 二科展 特別展示企画|

第100回記念 特別展示

IMG_3980_500×350.psd 特別展示風景
 二科展が、第100回記念展にあたり戦後いちはやく再興され海外交流展・法人化など、様々な改革がされてきました。日本近現代美術史における二科展の意義を世に提示すべく歴代理事長及び多大なる功績を残された洋画家・彫刻家の作品が特別展示されました。

第100回記念二科展 4部会員有志コラボ展示

国立新美術館2階の休憩室A・B・C・Dで4部門の会員有志によるコラボ展示が開催されました。
メインテーマは「あそび」。グループ参加による作品や、サブテーマ「ネコ100態」によせて会員110名がイメージしたネコたちが大集合しました。

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第100回記念二科展 総評(絵画部・彫刻部)

「第100回記念二科展雑評」伊庭 新太郎(絵画部)

 私にとって病気の為、欠席したり中途退場したりの5年間で第100回記念展の評を書く資格もないと思うが逆に第三者的な感想が云えると思うので以下感想を述べてみる。
特別展示として二科を支えた画人の作品展が有った。特別展示会場を暗くし別にスポットを当て、作品保護を考えながらも大切な貴重品を陳列するに相応しい一室になっていた。それは一般の人達にとっても二科に所属する我々にとっても、この部屋で感じる背を走る雷光がそのことを証明していた。IMG_3981_235×150.jpg▲特別展示丁度現在の我々が100回展に力を込めて描いた数々の作品が、クリスマスリースのように中心にある特別室の回りを賑々しく飾り、よりこの一室を神々しく感じさせていた。東京都美術館で「伝説の洋画家たち 二科100年展」も同時期開催されているが、二科独自の特別展は記念展中の秀眉であると思われた。
 第100回記念展の陳列は、ほぼ例年通り良くも悪くもなく陳列されてあった。特別展の部屋の替わりに彫刻室二室が絵画部に提供されておりこの為例年より入選作が多かった分、何とか無事に陳列が出来ていた。二階展示室も三階展示室も例年通りであった。U35作品ばかりを展示した部屋で良く鑑賞していると茫々漠々たる思い、又は感覚が私をおそった。私のセンスとは違った今まで見ることのなかったセンスに漠然と浸らせられていた。そこには色彩、形態、技法、材料等々、私には大変独創的なものと感じられたのだ。アニメやテレビ、写真、様々な材料、技法等々の影響と捉えることも出来るが私には何か違うセンスとしか感じられないのだ。こうした作品がもっと身近に判別可能であるようU35の中より会員が出ても良いのではと妄想していた。
 他に四部コラボレーション展も記念展に軽やかさを与えていた。展示室も賑わい名案であったように思えた。楽しい小品が100回展を盛り上げていた。中でも理事長の作品や他会員の作品も平生とは違った魅力に満ち、記念展に花を添えていた。

「100回展の展示に携わって」菅原二郎(彫刻部)

 第100回記念二科展が9月2日から14日まで国立新美術館において開催された。
 今年の8月は今までにない酷暑となった。そのような中制作された作品群が搬入、入落審査、受賞投票を経て展示された。
 搬入点数は昨年より少し上向き、また初出品者も多い印象を持った。今年は100回記念特別展示 "戦後二科を牽引した作家たち” という東郷青児はじめ歴代理事長を含む絵画、彫刻23点が展示され、中でも彫刻は笠置季夫、淀井敏夫、堀内正和、小畠廣志、大平隆洋、倉沢實氏たちの懐かしい作品を眼にすることが出来た。
 彫刻の展示スペースは、この特別展示のため昨年より100平方メートル 、合計200平方メートル余り減り、規格外作品の出品を辞退してもらったせいか大型作品が少なく、いくぶんさびしい印象を持った。
 特別展示のない例年のスペースから一部屋分少なく、展示する作品は例年並みということで、展示委員たちは各部屋の性格、作品の大小、材質、傾向なども考慮しながら頭を悩まし構成していき、昨年に引き続き彫刻側と絵画側から野外展示場に行く休憩室に比較的小さな作品及び会員の巡回展用の作品を配置した。
 全体の感じはベテラン作家逹の安心して見られる作品、中堅作家たちの新しい試み、若手のフレッシュな作品、新しい傾向の作品など二科らしい作品展示になったように思う。野外展示はゆったりした展示となり、各作品がのびのびとしているように思った。
 今年は初めての試みとして絵画、彫刻、デザイン、写真の四部でコラボレーション展が二階の休憩室で開かれた。コラボレーション展としては一考の余地があるように思ったが、四部がそれぞれの分野の特性を生かしながら一つの方向に向かおうとしている様子には好感を持てた。


新生二科を標榜して 百周年実行委員長 𠮷野 毅(彫刻部)

「容器(入れもの)としての美術館が変わるだけで、新生二科となるわけではない。国立新美術館への移転に際し新生二科とは何かと考えた時、いまの二科の現状を再検討し修正していく事こそ、それではないかと考える。そしてこの移転を一つの好機と捉えた時いくつかのテーマが表れてくる。
○デザイン部、写真部との関係。
○将来(100周年)へ繋ぐ為の経営的改善。
○作品のレベルアップと展示の検討。」
 これは平成17年10月に開催された理事会で、国立新美術館実行委員会(以後委員会)から提言された文案の冒頭部分の抜粋である。この肩肘を張ったような文言は、理事会に対し委員会からの決意表明であり、あらゆる交渉権の委譲を要請したものである。出席したのは松任谷國子、松井敏郎両委員と私であった。
 新生二科を標榜する上でデザイン、写真両部との関係は重要なものと考え、将来は同一法人でとの目標を掲げたのであるが、公益社団法人を選択しなければならなくなった時、いくつかのハードルがあり、現在はデザイン部と写真部はそれぞれ一般社団法人、絵画と彫刻で公益社団法人となっている。
 平成18年3月、デザイン、写真両部との全体会議を開催、四部門が初めてテーブルに着いたのである。多少緊張した雰囲気が漂う中で、展示室の割り振り、共有経費などを素直に話し合う。簡単に結論がでる議題ではなかったが、デザイン部、写真部、それぞれの思いを聞くことができ、四部揃っての新生二科であることを、改めて確認し合う機会となった。その後個別での話し合いを重ね、18年11月の四部会議で各部の部屋割り、デザイン、写真両部の参加費が合意されたのである。
 二科展を運営する上で、経営の改善は重要な課題であった。他の団体との情報交換(二科さんはお金持ち。請求しただけ支払ってくれると複数の声)、業務内容の具体的な把握、外注費、外注業者の見直しなど、経費の削減につとめた。100周年と云う節目を、健康な組織で迎えたいとの思いが、委員会には強かったのである。
 平成19年9月5日、92回展が国立新美術館でオープンした。展示空間が変わるだけで、これほど変身できるものか、目を疑う光景であった。一年間の勉強の成果を見せ合う新装の土俵に四部が初めて揃い踏みをしたのであった。
 100周年委員会は、平成21年12月に設置され、会員、会友から特別会費を徴収せずに、手づくりの百周年を目指したのである。
 百周年記念事業として刊行したDVDと冊子は、福島賜與委員の献身的な努力によってできたものである。二科100年史は、二科70年史の執筆者である美術評論家・瀧悌三氏に、続編として執筆して頂いた。そして実務的に記念事業すべてを統括し、成し遂げてくれた事務局に心から感謝をしたい。

事務局だより

 天皇皇后両陛下にも鑑賞いただいた、東京都美術館での「伝説の洋画家たち 二科100年展」と会期が5日間重なって迎えた国立新美術館での記念展は、表1・2・3の数字にも表れていますように活気のある展覧会となりました。過去100年の受賞歴一覧が賞別に巻末で検索できる金色の作品集は昨年より増刷いたしましたが完売。また、再入場券に抱き合わせで配布された「伝説の洋画家たち 二科100年展」のご案内や「コラボ展示作品抽選券」は各担当者の多大なるご協力のお陰で、沢山のお喜びの声を聞くことが出来ました。「大盛況!良かった!」の声の裏には委員会の先生方や、進んでその任をお引き受け下さった先生方の多大なるお力や、地道な作業を黙々とこなす事務局スタッフの総力によるものと心から感謝いたします。 
 9月10日開催の4部門会議において大好評であったコラボ展示を来年も継続する事が決まりました。会員の先生方の尚一層のご参加、ご協力、宜しくお願いいたします。
 事務局では展覧会終了後、日本美術史の礎ともなり100年目を迎えた美術団体二科会を、一人でも多くの方に知っていただきたいとの思いで、数年間総力を挙げて制作してきた「二科100年史」の本とDVDセットは国立国会図書館を始め、図書館が併設されている美術館等に、「伝説の洋画家たち」の赤い本は全国の小学校から大学の図書館宛てにお送りいたしました。
 祝賀会に向かう華やかなパレードでは支部長を中心とした各支部の結束力を垣間見る思いでした。二科会は全国の支部の母体があってこその団体なので、本部と支部とのミニュケーションを密にし、規約指導の徹底などの統一見解をさらに深め101回展に向かって行きたいと思います。
 会場のあちらこちらで目にした N I K A100の文字。
この歴史的な第100回記念二科展の節目の年を、常に広くお心配り下さった田中理事長の元で迎えられた事に心より感謝申し上げます。

                         事務局長 塙 珠世

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100絵画部記念撮影500×800.jpg▲絵画部会員:審査室にて
DSC00617_245×160_72dpi.jpg▲ギャラリートーク:絵画
IMG_4068_絵画部会場風景160×245.jpg▲会場風景1室:絵画

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100彫刻部記念撮影500×800.jpg▲彫刻部集合写真
DSC02410彫刻ギャラリートーク.jpg▲ギャラリートーク:彫刻部
IMG_4147_彫刻会場風景245×120.jpg▲会場風景:彫刻

9月11日:ミニコンサート

ミニコンサート3_150×221.jpg▲ヴァン・ドゥ・ラ・ムジーク

〈 チャリティー報告 〉

 4部の作品寄贈協力会員も増えコラボ企画の流れもあって楽しい作品が並び、二科展らしいコーナーとして賑わいました。皆様のご協力によって、今年も収益の全額を寄付することができましたことをご報告いたします。
■NHK厚生文化事業団
500,000円
■南相馬市災害対策本部
581,000円
 会場にはこれまでの活動をまとめたパネル〈公益社団法人二科会 義援活動のあゆみ〉(下図)を掲示しました。
 今期も例年通り絵葉書と切手のセットを絆通信とし福島県南相馬市原町区仮設住宅143戸・鹿島区仮設住宅1007戸、合計1150戸にお送りいたしました。
 ご支援に心より感謝し、今後とも活動を継続してまいります。
 二科会として、今後も支援活動を息長く続けたいと思います。作品を提供して頂いた先生方をはじめ、ご支援頂いた皆様に、心より感謝いたします。

100回展会場義援活動のあゆみパネル_2ol境界線.jpg

二科ショップ

 100回記念展のショップでは、作品集、絵はがきに並んで記念二科展グッズを販売しました。揃いの二科Tシャツはパレードの必需アイテムということもあって早々の品薄状態。エコバック、伝説の洋画家たちのクリアファイル、二科100年史セット、記念展の賑わいがショップにもおよぶ盛況でした。絵葉書スタンドがはいって売り場がまとめやすくなっていたと思われます。

二科ショップ3_153_221.jpg▲ショップ・チャリティーコーナー

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 伝説の洋画家たち 二科100年展


「ときめく」 宮村 長

 白いボードの作品のエピソードを一つ、一つ、読みながら、一作、一作、会場を歩く。この作家がこんな絵を描いていたのか、新鮮な気持にさせてくれるのが多くて楽しい。まだ画学生時代の自分に戻って行っていることに気がついていないまま進む。知っている作家に出会う毎に、あの時の憧れが沸いてくる。興味が尽きることなくいつの間にか出口へ。淀井先生の作品「聖マントヒヒ」が出口に向って足を投げ出して座して居る。見事な落ちである。ユーモアに思わず微笑んでしまう。「再入場される方はここから」の看板に一階から再度見る。昔の日本は空気がきれいだったなあと感じる。静物画、人物画、特に風景画に於てそれを感じた。土の色が佳い、日本の風景には地道が合う。松岡正雄の「村の子供達」に感心した。安井曾太郎の「玉蟲先生の像」のデッサン力とデフォルメにはまいった。それに鮮やかな色彩、未だに憧れる。先回の東郷青児の彫刻のデッサン力とデフォルメの魅力と感動を思い出していた。宮本三郎の「家族席」。娘の眼には確かに他の人とはちがった処を見ている。「描き度くないものをより多く描かなければならない運命」の父を見ている。そこまで感じ取れなかった。鑑賞者にも責任と能力が必要であるとドキッとした。林武の「本を持っている婦人像」の奥さんのエピソードも面白い。夢中になっている自分が快い。これは画学生の頃のトキメキだった。
 大阪の内覧会にもう一度あの感激をと楽しみに行った。館内放送が「4時30分」を告げる。出口で関係者に問うた。すると、「金曜日でも東京のようには出来ません。ここでは、お客様には明るい間に来て頂いて、明るい間にお帰り頂くことになっております」と答が返ってきた…(笑)。

NIKA100_2015


NIKA68-P03-01伝説オープニング150×235.jpg ▲オープニングセレモニー
P伝説の洋画家たち245×235.jpg ▲伝説の洋画家たち 二科100年展

▶「 2024 春季二科展 」2024 SPRING NIKA ART EXHIBITION

「 2024 春季二科展 」2024 SPRING NIKA ART EXHIBITION 開催

2024春季展ポスターB3タテ920×650.png
  会 期:4月18日(木)〜5月2日(木)
      9:30~17:30(入場は17:00まで)
      最終日は14:30 終了(入場は14:00まで)
  会 場:東京都美術館 1階 第1・第2・第3展示室
            東京都台東区上野公園8-36(上野公園内)

  ▶春季展 授賞式:4月18日(木) 午後1時より  場所:1階2室
  ▶絵画部ギャラリートーク:4月18日(木)  授賞式終了後 開催

▶ 帝国ホテル 二科サロン 第106回二科展 受賞者小品展(第四期)終了

帝国ホテル 二科サロン 第106回二科展 受賞者小品展(第四期) 開催

nika_favicon64.psd帝国ホテル二科サロンにおいて第106回二科展受賞者から選抜された
12名による小品展(第四期)を開催いたします。
・会期=2023年10月3日(火)〜2024年1月9日(火)
    (初日:午後3時より  最終日:午後1時まで)
・会場=帝国ホテル インペリアルタワー・ギャラリー(東京都千代田区内幸町1-1-1)[入場無料]
・主催=公益社団法人 二科会

  ●作品出品者▷徳永スエ子・芝田満江・中野紀三朗・柳澤綾子・すぎもと 和・菊島ちひろ
         佐藤幸光・坪田裕香・石見香賀里・桑子純子・前川普佐雄・矢島初子