第107回 二科展 開催 (2023年9月6日〜9月18日)



|第107回二科展 総括|生方純一 理事長

NIKANEWS81-P01-1.psd 2023年の夏は異常気象と言われ、酷暑が続き各地で度々の豪雨も発生し被害も多かった。被害地域が報道されると、その地の会員や会友、出品者の顔が浮かび案じられた。そんな厳しい夏の盛りに制作・奮闘をしている姿が偲ばれ、私も今年ほど制作で汗を流した年はなかった。
 そんなことから今年の出品状況が案じられたが、搬入状況を見ると出品者数は昨年より増えていたが出品点数は微減という報告。
 3年ぶりに全会員による審査が実現し、審査室は久しぶりの再会や初めての審査参加で緊張気味な新会員との交歓など二科らしい場面が感じられた。しかし、審査の途中で体調の不調をきたす会員があり、検査の結果コロナの陽性が判明、その後数名に拡散。入院や帰郷する会員も増えて不安な状態だったが大事に至らず、その後の審査や発送業務は予定通りに進めることができた。
 二科会は全会員による審査を標榜してきたが、今回の状況を踏まえると審査会場のスペースや人数からして明らかに「密」になりすぎる。数年の間、コロナ禍を考慮して理事と監事、運営委員の協力で審査をしてきたが、何らかの偏りが出るのではないかと懸念していたが、案ずることなく公平な審査ができていたと思う。そうした経験から、今年の全員審査による弊害から審査室の「密」を避け効率をあげるためにも、半分ないし三分の一くらいの人数での交代制審査案を検討すべきと思う。
 審査結果は力作が評価されたが、パリ賞は問題が生じ今展では該当なしとした。
 初日は猛暑にもかかわらずオープンを待つ沢山の入場者に並んでいただき、一同感謝の気持ちでお迎えした。
 展示会場は展示委員の研究で全会場にゆとりを持たせ、展示にも工夫が感じられた。従来のU35展示室やアニマル・ルーム、50号の部屋などを設け変化を持たせた。3階の最終室には新たに出入り口を設けてドン詰まり感をなくした。入場者や評論家諸氏からもイメージチェンジによる好感度の評価をいただいた。
今展は特別展示として、ウクライナ大使館の後援でウクライナの写真家ヴェラ・ブランシュさんの写真40点を写真部の休憩コーナーに展示し、ウクライナの現状を感じていただいた。
NIKANEWS81-P12-01.psd チャリティーコーナーでは4部の会員からの出品協力を得て大いに成果があった。
 初日の授賞式、新会員・会友推挙式の面接も予定通りに行われたが、ザ・リッツ・カールトン東京での懇親会は猛暑でもあり、コロナ禍の警戒もあってか出席者は減少気味だったが和やかな懇親会になった。
 会期中の会場では研究会・ギャラリートークが行われ、また美術館講堂ではゲストを招き講演会を開催。今年は東北芸術工科大学学長の中山ダイスケ氏の講演と中原常務理事との対談を、そして塙常務理事と黒川理事による支援講座・ワークショップが開催され、盛り沢山の行事があり好評であった。
 展覧会の終盤は連休とも重なって多くの入場者があり、特に感じたこととして今回は会期中を通して外国人の入場者が目立った。
 入場者が昨年を大きく上回ったこともあり、最終日にはお手伝いいただいた会員に「大入り袋」を出して労をねぎらった。

|新芽を求めてー第107回展示について|中島敏明

 二科展の絵画部は、一階1室から三階20室まで計48室で一つの森を営んでいます。大樹もあれば細い木、老木、若木等、107回展は1182本でした。「木を見て森を見ず」にならないように、我々展覧会委員は、この森全体をもっと輝かせるため、山中常務理事中心に昨年の反省を考察し対策の検討を重ねてきました。今回は特に三階に重点を置き改革をしました。
NIKANEWS81-P03-2.psd絵画部 2階 1室
〇作品振り分けについて
 会員作品171名171点を理事、展覧会委員全員で各部屋の展示拡大図面に作品写真を仮置きしました。会友作品一階に54名2点入選含め78点、二階に155名2点入選含め195点一般作品二階に108名108点、三階に573名2点入選含め628点、これを受賞作品から部屋区分のカテゴリーの順番に理事、各支部長、展覧会委員が適正な部屋へバランスよく部屋指定をしました。

〇会場構成について
『一階』1室の入口に従来掲示物があった可動パネルを取り止め、1室の空間の広さをアピール。内閣総理大臣賞と東京都知事賞作品で華を添えました。10室と13室に抽象系作品、11室には具象系作品を配置、12室には会員推挙5名を並べ新鮮さをアピールしました。また14室・15室は彫刻部会場との往来を考慮した作品を配置しました。
『二階』基本会友作品で、1室は二科賞中心に比較的迫力系を配置、2室は抽象系、8室は具象系の秀作を配置しました。会友はすべて9室までとし、二段掛けを避けゆったりとさせました。各部屋の展示担当の工夫もあり、魅力ある二階になったと思います。
NIKANEWS81-P03-1.psd絵画部 3階 1室・11室(U35奨励)
○『三階』改革内容について
①3A・3B間の6室から15室の通路を閉じ、6室を広くして受賞作、意欲作を展示し奥の部屋のイメージを一新しました。
②4室・7室間の通路を閉じ導線回路を明確化。見落とし作品がないよう工夫をしました。
③11室のU35奨励室が入口から見える壁面としました。
④U35の出品者が増えてきましたので、奨励室二部屋を広く設け次世代育成強化を図りました。
⑤前回展まで閉鎖の出口扉を開けて出入り可能とし、活性化を図りました。
⑥3B中央の可動パネルを1.8m開け入口に戻れるバイパス通路を確保しました。
⑦パネルを1枚外して一部屋減らし、19室・20室を広くしました。
⑧19室を仮称アニマルブースと称し、動物をそれぞれの感性で表現された作品を一堂に展示し楽しめる部屋を試みました。
⑨最後の20室には受賞作やインパクトのある意欲作を展示、1室同様に魅力ある部屋としました。
 可動パネルの出し入れで展示壁長(展示点数)の差がなく見落としが出ない導線もでき少し明るい三階になったと思います。
 いずれにしても、絵画の森は我々会員一人一人が質の高い魅力のある作品を発表することにより、自ずと森は輝き、来場者も出品者も増えるのではないでしょうか。

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|彫刻部 総評|登坂秀雄

NIKANEWS81-P09-2.psd▲彫刻部:展示会場  第107回二科展が9月6日から18日まで国立新美術館において開催された。
 彫刻部には展示委員会を設けている。会員(二年目10名、一年目10名)の輪番制で、彫刻部事務局と連携を図り、開催年度の展覧会運営に向けた任に当たる。
107回彫刻部展示委員会は、政府が新型コロナ感染症対策を2類から5類へ方向転換し指針を示されたことから、コロナ禍において104回展以降休止していた一般出品者を交えた会友・会員全員での展示作業、出品者の交流の場となる懇親会の開催、鑑賞者との意思疎通を図るオープニングトーク、ギャラリートークの開催復活を決めた。三月から会期直前までZOOM会議等を通して入念な準備を行った。出品作品の傾向を鑑み
ながら、東京都美術館から国立新美術館に会場を移した92回展以降【展示場所において定位置を定めず】をモットーに展示委員全員で和気相合いと展示総数160点の展示計画が進められた。
結果として、二科会発足当初からの『一流一派にとらわれず、新しい価値を尊重し、創造者の制作上の自由を擁護し、抜擢する』とのコンセプトが活かされ、二科らしさが演出された明快な会場構成が出来上がった。
 初日から家族連れの鑑賞者の姿が多く見られ、子ども達の声が響き渡る状況を目にして新たな幕開けを予感する喜びさえ感じた。
 注目すべき点に、若手作家による動物彫刻作品が多く見られた事。環境問題の変化に敏感に感受するアンテナが高いせいであろうか。
 昨年度106回展から設けられたカテゴリー30(30㎤)の展示は、絵画部と彫刻部の接合点に当たる展示会場をつなぎ、微妙に扇形に開いた二列での展示を試みた。結果として二列の中を鑑賞者がゆったりと双方向に行き来する導入口となり、会期中常に賑わいを見せる場となった。
NIKANEWS81-P09-4.psd彫刻部:カテゴリー30 野外展示において、作品点数は減少したものの作品間と鑑賞者の導線を考慮した豊かな展示スペースを感じさせた。作家の同意を得て彩色された木彫の大作の野外展示を試みたが、赤い触手を持つ抽象彫刻が背景の緑、空の青と融合し、野外空間との調和を見せ華やぎさえ感じさせた。今後の野外展示に光明を見た感がある。
 107回二科展は例年になく酷暑の中での開催となったが、彫刻部独自のコロナ対策を講じた結果、展覧会業務中や会期中において熱中症やコロナ罹患者を出さずに済んだことにほっとしている。
 最後に、展示委員に当たられた皆様が率先して仕事をこなして下さった事に感謝したい。

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|ウクライナ写真家作品特別展示|

107ウクライナフライヤー|タテ500pix.psd

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第107回二科展では、ウクライナのファション写真家 Vera Blansh(ヴェラ・ブランシュ)さんの写真30点を「平和への祈り」と題して写真部展示会場の休憩室に特別展示しました。


IMG_1791.psd▲平和への祈り:展示風景

IMG_1790_1.psd▲平和への祈り:展示風景


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帝国ホテル NIKA ART SPOT「S20特別賞」作品展示

帝国ホテル NIKA ART SPOT「S20特別賞」作品展示

nika_favicon64.psd帝国ホテル 東京 本館「NIKA ART SPOT」において「S20特別賞」作品を展示いたします。
2024春季二科展「NIKA+nika/S20号」コンクールにて「S20特別賞」を受賞された4名の
作品を前期と後期に分けて1年間展示いたします。
ご高覧頂きたくご案内申し上げます。


■会期:前期=令和6年5月10日(金)〜令和6年11月12日(火)
    後期=令和6年11月12日(火)〜令和7年5月9日(火)
■場所:帝国ホテル 東京 本館 中2階「NIKA ART SPOT」
 住所:東京都千代田区内幸町1-1-1            
■主催:公益社団法人 二科会

■S20特別賞受賞作家
 前期:荒井洋子・出月智子
 後期:近藤隆弘・番場美和子
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◀帝国ホテル 地図・交通アクセス QRコード
日比谷駅:東京メトロ 日比谷線・千代田線・都営地下鉄三田線 A13出口から徒歩3分
銀座駅:東京メトロ 日比谷線・丸の内線銀座線C1出口から徒歩5分
有楽町駅:東京メトロ 有楽町線徒歩7分
JR有楽町駅:山手線、京浜東北線 徒歩5分

▶「 2024 春季二科展 」2024 SPRING NIKA ART EXHIBITION[終了]

「 2024 春季二科展 」2024 SPRING NIKA ART EXHIBITION[終了]

2024春季展ポスターB3タテ920×650.png
  会 期:4月18日(木)〜5月2日(木)
      9:30~17:30(入場は17:00まで)
      最終日は14:30 終了(入場は14:00まで)
  会 場:東京都美術館 1階 第1・第2・第3展示室
            東京都台東区上野公園8-36(上野公園内)

  ▶春季展 授賞式:4月18日(木) 午後1時より  場所:1階2室
  ▶絵画部ギャラリートーク:4月18日(木)  授賞式終了後 開催

▶ 帝国ホテル 二科サロン 第106回二科展 受賞者小品展(第四期)終了

帝国ホテル 二科サロン 第106回二科展 受賞者小品展(第四期) 開催

nika_favicon64.psd帝国ホテル二科サロンにおいて第106回二科展受賞者から選抜された
12名による小品展(第四期)を開催いたします。
・会期=2023年10月3日(火)〜2024年1月9日(火)
    (初日:午後3時より  最終日:午後1時まで)
・会場=帝国ホテル インペリアルタワー・ギャラリー(東京都千代田区内幸町1-1-1)[入場無料]
・主催=公益社団法人 二科会

  ●作品出品者▷徳永スエ子・芝田満江・中野紀三朗・柳澤綾子・すぎもと 和・菊島ちひろ
         佐藤幸光・坪田裕香・石見香賀里・桑子純子・前川普佐雄・矢島初子